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インタビュー2016-07-09

「僕らが遊園地としてできること」- ひらかたパークの「リアル」園長・岡本敏治さん

1910(明治43)年、大阪府枚方市に開園した「ひらかたパーク」、通称「ひらパー」は営業を続ける日本の遊園地として最も古い歴史を持つ。運営は京阪電気鉄道、京阪レジャーサービス。毎年100万人前後の入園者数がある。

近年、同市出身のジャニーズ事務所所属アイドルグループ「V6」の岡田准一さんをイメージキャラクター「超ひらぱー兄さん」として起用したことが話題に。現在は「園長」の肩書きの下、園内でさまざまな「改革」が行われている。

今回、ひらパーで「本物の」園長を務める岡本敏治(としじ)さんに、ユニークなアイデアの源や園長としての役割、地域に存在する遊園地の意義などを聞いた。

■ アイデアを実現する力、現場の力

 イベント会議は月1回程度で、あとは個々に打ち合わせをしています。所帯の大きなところではないので、みんなとデスクを並べて、コミュニケーションを取りながら仕事をしています。そういった環境ですので、いろいろな意見も出てくるし、「みんなでつくる」という姿勢は昔からありますね。

 岡田さん関連のイベントは広告代理店と企画会議を行って、上がってきた草案を基にブレストをして一緒につくっています。遠慮なくアイデアを言ってもらえるビジネスパートナーがいるのは心強いです。「ロシアン観覧車」(※1)は社内からは生まれにくい発想だと思います。

※1 ロシアン観覧車
岡田園長が「考案」した観覧車。40台あるゴンドラのうち4台が黒いシートで覆われた。内部には「本来見えるはずの景色」を収めた写真集が置かれ、音声案内に合わせてめくるという仕掛けを用意した。

 アイデアが固まってきたら、今度は「どう実現するか」という部分に知恵を絞ります。不快感や恐怖感はないか、楽しめるものになっているかなど、安全面を含めて現場に落とし込むにはすごく労力がいるんです。我々には、面白いアイデアを実際に、お客さまにお届けできるところまで形にするノウハウがあります。実現に導くプロセスは、ほかにはない、稀に見る力があるなと思います。

 そうしたノウハウがあるから、いろいろなビジネスパートナーが現れてくれる。長くこの場所で遊園地をやっているアドバンテージだなと思いますね。

■ 歴史をつないで、新たにつくる

 「ひらかた大菊人形」(※4)は今でも思い出に残っています。100年近く続けてきて、96回で終わりました。私が入った当時はまだやっていて、いろんな立場で関わってきましたから印象深いものがあります。最後は69万人ほどの来場があって、あらためて愛されていた催しであることを感じました。同時に、歴史を終わらせる責任も感じていました。菊人形に代わるものを新たに作り出していかないと、という使命感がありましたね。過去を終わらせた意味でも、前に向かっていく意味でも、その現場に立ち会えたというのは大きな経験になりました。

※4 ひらかた大菊人形
菊人形は菊の花や葉で細工が施された等身大の人形。同園では、主にNHKの大河ドラマを題材に場面を分けて展示された。製作に関わる職人の高齢化と後継者不足などのため歴史に幕を下ろした。

■ 園長の仕事、ひらかたパークのクオリティー

 全体の管理責任者ですから、大きな営業方針、経営方針を決めていくということですね。京阪電鉄の事業方針に沿う形で、沿線のお客さまにとって付加価値に感じていただけることを推進していきます。その大前提には、やはり安全に運行管理をすることが挙げられます。

 間もなくプールが始まりますが、監視員の人数は例年多く配置しています。命の危険にさらすようなことは絶対にあってはいけない。安全に楽しんでいただくために細心の注意を払うということは、我々がこの場所で事業を継続していく「核」となる部分です。その姿勢が、京阪電鉄、ひらかたパークのクオリティーだと思っています。

■ 遊園地の役割

 「また来たいね」と思ってもらえる楽しさをお伝えできるのがエンターテインメントの世界かなと思います。その中で遊園地としての役割は、リアルな体験や心が豊かになる時間を提供していく場であること。ゲームやSNSもいいですが、実際に触れて体験すると心の感じ方も違ってきます。遊園地として社会的な使命を感じます。実際に顔を見て、外に出て、太陽を浴びて、風を感じながら楽しんでもらえる空間であるからこそ、与えられる、心に残っていくものがあります。そうした場を提供し続けるというのが、我々の役割だと思っています。

■ ひらかたパークという遊園地

 僕らはテーマパークではなく遊園地なんです。時代に応じて、おもちゃ箱のようにさまざまなものを提供する場であるべきかなと思います。エンターテインメントの世界は次々と新しい技術や楽しみ方が出てきています。長くやっているとローテクに寄りがちですが、前に進み出る力を持つには、世間への感度は高くないといけません。

 ひらかたパークは、日常使いをしていただける、身近に楽しんでいただける施設だと思っています。特に、小さなお子さまがいるご家庭が、ひらかたパークに行ってみよう、と気軽に思える空間づくりは大事。幅広い客層の人に来ていただいていますが、「お子さまにとって、いろいろな体験ができる場」であることは、我々のブランドなのかなと思います。

「岡田さんに対して『私が本物の園長なのに』という思いはもちろんありません」と笑う場面も。

■ 笑顔がエネルギーになる

 お客さまからの評価を直接お聞きする機会は多くありません。ですので、園内のお客さまがどういった表情をされているのか、というのが全てかなと思っています。どれだけ楽しい顔をして帰ってもらえるか。そこに尽きますね。例えば「パチャンガ」(※5)にしても、あの現場に立ち続けるのは本当にものすごく大変です。だけど、ワクワクしながら乗っていただいて、喜んで帰ってきて笑顔で降りていただく。あの瞬間のコミュニケーションがあるから、彼らは頑張れる。お客さまから返していただく答えとして、一番うれしいのはやはり笑顔です。その顔を見て僕たちは仕事をしているし、唯一のエネルギーになります。

※5 「トロールパニック パチャンガ」
ひらかたパークの川下りアトラクション。渓谷に見立てた川を6人乗りの円形ボートで下る。乗降場所が絶えず回転しているため、スタッフは相当の体力が必要になると思われる。

岡本敏治(おかもととしじ)。1975(昭和50)年生まれ。八尾市出身。1998年に京阪電鉄入社後、ひらかたパークに配属。本社管理部門などを行き来し、2013年園長として就任。就職活動中から「人に提供して、喜んでもらえる仕事がしたかった」と話す。

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